ベトナム政府は2019年11月15日、2020年の最低賃金に関する政令90号(90/2019/ND-CP)を公布しました。
最低賃金は2020年1月1日から月額で平均5.5%引き上げられます。昨年の最低賃金月額平均引き上げ率5.3%をわずかに上回りました。
政令の策定に当たって、労働者代表と使用者代表が議論していた訳ですが、労働者代表が最大で平均8.2%の引き上げを提案したのに対し、使用者代表は平均3%未満の引き上げに抑えるべきだと主張しており、最終会合で平均引き上げ率を5.5%とすることで合意された模様です。労働者代表8.2%と使用者代表3%未満の差は5.2%もの考えの違いがあったと云うことです。
ベトナムの最低賃金は、ベトナムを4つの地域で分けて決められます。地域Ⅰは、ハノイやホーチミンのような都市部を指します。田舎の方に行くに従って、地域Ⅱ、地域Ⅲ、地域Ⅳとなっています。
2020年ベトナム最低賃金の前年対比
ベトナム政府の発表した数字を前年対比で表します。
ベトナムの最低賃金は、ベトナムを4つの地域で分けて決められます。地域Ⅰは、ハノイやホーチミンのような都市部を指します。田舎の方に行くに従って、地域Ⅱ、地域Ⅲ、地域Ⅳとなっています。
ベトナムドン(VND)額は、数字が大きくなるので、単位を百万VNDとしてあります。
2019年(VND) | 2020年(VND) | 2020年(円換算) 1VND=0.0047円 | |
地域Ⅰ(都市部) | 418 | 442 | 20,774 |
対前年比 | 5.0% | 5.7% | - |
地域Ⅱ(ダナン市、バクニン省など) | 371 | 392 | 18,424 |
対前年比 | 5.1% | 5.7% | - |
地域Ⅲ(ハナム省など) | 325 | 343 | 16,121 |
対前年比 | 5.2% | 5.5% | - |
地域Ⅳ(上記以外) | 292 | 307 | 14,429 |
対前年比 | 5.8% | 5.1% | - |
ベトナムの月の最低賃金は円換算で、都市部において 20,774円 となり、始めて2万円台に突入しました。
あくまでも、最低賃金ですから、求人募集も最低賃金で行われることもなく、最低賃金よりも高い賃金で求人募集されます。
ここでは、1999年から2020年までの地域Ⅰ(都市部)の最低賃金推移と最低賃金の対前年比(%)でみてみます。
年々、上昇率が低下しておりますが、2020年は昨年より上昇率が久々ですが上がりました。
ベトナムの物価
2019年までのベトナムの消費者物価指数の推移
2019年1月から6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比2.64%と,過去3年間の上昇率で最も低かったことからも、最低賃金銀の上昇率を抑えた要因ではないでしょうか。
ベトナム政府 消費者物価指数(CPI)
ベトナム統計局から出された消費者物価指数ですが、物価を引き上げた項目としては価格変動しやすい食品、教育関連が大きかったようです。
マルちゃんの一言
ベトナム経済は堅調に推移しております。
安価な労働力を求めて、多くの企業が世界各国から集まってきます。
それ以外にもアメリカのトランプ政権が仕掛けた2018年から今も続いている米中貿易戦争の影響で、制裁関税を逃れるために製造業を中心とした製品の生産拠点を中国からベトナムへ移管する動きが出ております。
最低賃金も上昇を続けていますが、日本円に換算すれば2万円弱と低いです。当然、まだまだベトナム経済が好調に発展していくことが予測できます。